AI技術といえばGoogleアシスタントやSiriのような音声アシスタントや、ChatGPTのような多機能チャットツールなどの対話型サービスが注目を浴びています。
しかし、AIの活用方法はそれだけではありません。
そのひとつが、イオングループが顧客サービスの向上を目指すために導入した「スマイルくん」です。
本記事では、「スマイルくん」の基本情報や導入の目的、そしてどのようにして従業員と顧客のコミュニケーションを改善しているのかを詳しくまとめました。
AI技術に興味がある方はぜひご一読ください。
「スマイルくん」とは?
「スマイルくん」は、バーチャル・リアリティを使った人材育成を行っているInstaVRが開発したエッジAI端末です。
この端末は従業員の笑顔や声量をリアルタイムで分析し、100段階にスコアリングしてフィードバックする機能を有しています。
スコアを細かく分類できるのは、AIに顔の特徴点を450以上も判別する能力があるため。
人間では気が付かなかったり表現できなかったりする細かな部分も、AIならではの正確性でしっかりチェックしてくれます。
また、相手への好感度にも左右されずにチェックできるのも「スマイルくん」の強みといえるでしょう。
問題点や改善点がハッキリすることで、サービスの質を向上させる効果が期待できます。
導入の効果と実証実験
イオングループはまず8店舗で「スマイルくん」を導入し、実証実験を行いました。
すると、利用を始めて3か月で顧客の笑顔や挨拶の実施率が約1.6倍も向上という結果に!
実験店舗では、店頭でのお客さまへの笑顔と挨拶について3カ月間に渡ってミステリー
引用元:IEON NEWS RELEASE
ショッパー調査を行い、スマイルくん導入による従業員の笑顔・発声の変化を追跡調査しました。
その結果、実験店舗では従業員からお客さまへの笑顔と挨拶の実施率が導入前と比べて約1.6倍に
向上しました。
この成功を受け、イオングループではさらに多くの店舗で「スマイルくん」の導入を決定しました。
2024年8月現在は約240店舗で導入予定ですが、今後の結果によってはさらに多くの店舗で利用されていくようになるでしょう。
ゲーム要素と従業員の成長
試験導入で成功を収めた「スマイルくん」ですが、その鍵となるのが従業員の成長を促進するゲーム要素の存在です。
AI分析を行うとその結果に応じて経験値が入るシステムとなっており、一定の経験値を得るとレベルが上がります。
レベルアップに伴いAI分析の難易度やバリエーションが変化するやり込み要素があるため、飽きることなく継続的に接客技術を磨けるようになっています。
ゲーム感覚で楽しみつつ、自然に接客技術を向上していけるのは「スマイルくん」ならではの魅力といえるでしょう。
また、店舗間や売場間でのパフォーマンス比較や表彰制度も導入されており、従業員のモチベーション向上にも寄与しています。
「スマイルくん」導入に関する世間の声
接客技術の向上を目的に「スマイルくん」を導入したことに対し、世間からは賛否両論が起こっています。
そのなかの一部をご紹介します。
「スマイルくん」の導入に賛成
「スマイルくん」の導入に賛成した人からは、以下のような声がありました。
「スマイルくん」に関するポジティブな口コミでは、AI技術の面白さや実験結果に関する評価が多くみられます。
今回の導入により、イオンがさらなる発展を遂げるのではと期待する人もいました。
「スマイルくん」の導入に反対
続いて「スマイルくん」導入にネガティブな印象を抱いた方の意見を見ていきましょう。
ネガティブな印象を受けた人から多く上がっていたのが「ディストピア的(自由がない管理社会)」という声です。
AIが評価することに対し「人間が支配されているように感じる」という人も少なくないようです。
まとめと今後の展望
未来の顧客サービスの向上に大きな期待が寄せられている「スマイルくん」の存在。
イオングループの検証結果によっては、今後さらに多くの企業がスタッフ育成にAI技術を採用することが予想されます。
一方で、イオンを利用する消費者の中からは「ディストピア的で怖い…」といった声もありました。
人とAIが上手く共存し、これまで以上に居心地の良い世界を作る。
イオングループがそんな未来のモデルケースとなるのかどうかが、今後の結果に掛かっているといえるかもしれません。
【インダストリアル・ドリーム株式会社について】
国内で初めて独自LLMを取り入れたwebサービスである創作支援アプリAI BunChoを開発・運営しています。
その経験をもとに、生成AIに関するPoCや受託開発を行っております。
【活動例】
- 大規模公共事業で用いるアプリケーション開発でのPM(発注者の社内外ステークホルダーとの調整、課題解決、及びその他の付随業務)
- 生成AIを利用したシステム開発に関する要件定義・PoC・受託開発
・KDDI様にLLMを用いたアプリのプロトタイプ納品
・モバイルオンラインゲーム企業での生成AIの社内業務への導入及び、 自社IPキャラクターとチャットできるLLMのR&D
・RAGを用いた社内Slack botや文章生成器の開発導入
・社員のリテラシーを高めるための勉強会の開催
・患者情報のテーブルデータを用いた時系列予測
ご興味をお持ちいただけましたらお気軽にお問い合わせください!